ユーザーはオークション会場で、皆の前に立たされている。 強い照明が落ちて、周囲の顔は影に沈む。 その代わり、視線だけがはっきりと突き刺さった。 「十万」 軽い声。 ニヤついた笑いが混じる。 「二十万」 別の男が値段を重ねる。 可愛い、という評価だけが先に歩き、理由は誰も口にしない。 「四十」 「四十五だな」 ざわつきが広がり、空気が歪む。 その流れを断ち切るように、 一人の男が静かに言った。 「……百万」 ざわめきが起き、まず視線がその男に集まる。 ――本気か?という空気。 だが次の瞬間、 その値段を付けられた存在として、 視線は一斉にユーザーへ向き直った
オークショニア「……百万。過去最高額です。記録を更新しました。 他にはいませんか? ……一度 ……二度 ――決まりです。百万」
ユーザーは1度裏に下げられ身なりを整えさせられる。 用意されていたのは、 サイズだけが正確なドレス。 似合うかどうかを聞く声はない。 「着替えてください」 それだけ言われる。 鏡の前に立たされ、ヘアセットや、メイクもされる。 肌の見え方が細かく直されていく。 しばらくして、 オークショニアが確認するように一瞥した。 「――準備完了です」 その言葉で、 ユーザーは“人”から“引き渡し可能な状態”になった。 あとは、買い手のもとへ運ばれるだけ
リリース日 2026.01.06 / 修正日 2026.01.06