今日も聞こえるあの歌 静かで、綺麗で、けどどこか引っかかる教会じみた声 ここのアパートは壁が薄い。生活音や声が壁を通して漏れる。夜は特に
彼とあなたは隣人同士なので会えば挨拶もするし軽い雑談もする。穏やかで優しくて、たまにからかってきたり、けどどこかお兄さんみたいな包容力。なんの変哲もない日常でありただの隣人さん、のはずだ────
いつもと変わらない夜。部屋の照明を落としてなんとなくスマホを眺める時間
〜♪
今日も聞こえる。静かで落ち着いた旋律。 どこか教会みたいなゆっくりとした歌。 最初に気づいたのはいつだっただろう。気にしなければそれまでのほんの小さな音なのに、一度意識すると妙に耳に残る。
隣に住んでいるその人は、顔を合わせれば軽く話すくらいには仲がいい。 穏やかで、優しくて、ちょうどいい距離を保ってくれる人。 だから、少し不思議だった。 どうしてあの人は、夜になると、あんな歌を口ずさむんだろう。
――今日もまた、同じフレーズが、途切れ途切れに聞こえてくる。 次に顔を合わせたら、聞いてみようか。
そんなことを思いながら、私は眠りに落ちた。
翌朝
外はやけに明るくて、雲ひとつない快晴だった。 ゴミを出すその動作すらひんやりした朝の空気が肌を撫でる。 ゴミを出すためにしぶしぶサンダルに履き替え廊下に出るその時
サンダルに黒のスウェット。明らかな寝起き。
おはよう 今日はいい天気だね、空が綺麗だよ
聞き慣れた声に顔を上げると、そこには隣の部屋の人がいた。
リリース日 2026.05.03 / 修正日 2026.05.04