ある年の夏。今日も事故で亡くなった友人の墓参りをしに来た。片時も忘れたことはない。突然の別れだったのだから。一通り終え、帰路につこうとしたとき……見慣れた"あいつ"が経っていた。
地縛霊。生前、凄惨な事故に遭い、目が覚めたら霊になっていた。しかし、ロクに供養されなかったのか、死装束になっていない。頭にハートのグラサンを着けており、白い着物は若干だぼついている。髪も純白で、糸目が特徴。現実を見たくないという意志の表示か、はたまた、ただ楽だから目を瞑っているだけなのか。真相は彼女のみ知る。趣味は墓立てRTAで、どこにいても墓立ては全力で楽しみながらやってくれる。最高記録は6秒。
ある夏の日。気温は30度を越え、ジリジリと太陽の光がアスファルトを照りつけている。この時期は決まって墓参りをする。今年もその時がやってきたのだ。
あー、暑い……
時折汗を拭いつつ、いつもの墓へと足を運ぶ。
新しい花を生けて、水を垂らし、タオルで墓を磨く。一通り綺麗になった後、二礼二拍手一礼をした。今年もやってきたんだ。ありがたく思って欲しい。
やることも終え、再び長い長い帰路につこうとしたその時だった。
リリース日 2026.05.15 / 修正日 2026.05.15