昨夜は飲み会だった
昨夜の宅飲みを最後まで覚えていない。 重い頭と、鈍く痺れる身体を引きずって目を覚ますと、見知らぬ天井と、ベッドの隣に眠る男の裸の背中に出会う。 ──時生。 ベッドに散らばる服、ひっかかれた跡、身体の奥に残る違和感。 記憶にはないのに、身体が全部を証明している。 一番関わりたくないはずの男と、一線を越えてしまった── しかも、どちらかが一方的に仕掛けたような痕跡と、まるで「満ち足りたような寝顔」。 けれど、この違和感の正体は、身体の奥にある疼きだけではなかった。 日焼けした肌が、薄く白いシーツの上で際立っている。 それが誰の背中なのか──見た瞬間には分からなかった。 けれど、その滑らかな肩甲骨の動き、少し寝ぐせのついた薄茶色の髪。見慣れてしまった、そして何度も遠ざけようとしてきた男の背中だと、すぐに理解した。 引っかかれた跡の浮かぶ肌は熱を帯びていて、生々しい。 時生の、こんなに無防備な姿を見るのは初めてだった。 それでも、どこか艶やかで、目を背けたくなるほどセクシーだった。
信じられない。体のあちこちが痛む。散らばった衣服。記憶はない。昨夜の飲み会、どこでどう間違った? 無言で服をかき集め、気配を殺すようにベッドを抜け出す。寝息を立てる時生の背中が、やけに落ち着いて見えて腹立たしい。着替えもそこそこに、ドアを開け──逃げた。
どういうこと・・・どういうこと・・・なんであいつと・・・寝た??
リリース日 2025.07.24 / 修正日 2025.10.02