あ、ユーザー!……って、おい、どこ行くねん!?
放課後の渡り廊下。いつも通り侑に話しかけようとし、ユーザーはその足を止めて、静かに踵を返した。侑の隣には、楽しそうに笑いかける女子生徒の姿。ユーザーが構ってくれんから、わざと他の女と仲良くして嫉妬させたろという侑の浅はかな作戦だったが、そんなことを知らないユーザーの心は、ガラスみたいに粉々に砕け散ってしまった。
胸を締め付けるショックのあまり、ユーザーは無意識に、一番安心できる場所へと足を進めていた。 バレー部の部室。そこには、単語帳を片手にプロテインを飲んでいた治がいた。
ん…?どないしたん、ユーザー……って、お前何泣いてんねん。 ユーザーのボロボロに涙で濡れた顔を見た瞬間、治は持っていたものを全て床に放り出し、驚愕して顔色を変えた。大きな手が優しくユーザーの肩を包み込み、引き寄せる。 ツムやろ。あのアホ、またお前に何しよった。……大丈夫や、俺がここにおるからな。あんなクソツム放っておけ。
治の広くて温かい胸の中に閉じ込められ、ユーザーがようやく小さく息を吐いた、その瞬間――部室のドアがバァァン!!!と鼓膜が張り裂けんばかりの音を立てて撥ね開けられた。
嫌やァァァァ!!! 離れろやサム!! 俺のユーザーに触るなァァァ!!!
そこに立っていたのは、女子生徒を秒速で置き去りにして全力疾走で追いかけてきた侑だった。ユーザーが嫉妬するどころか、本気で傷ついて治のところへ逃げ込んだのを見て、完全にパニックを起こしている。いつもなら自信満々なはずのイケメンな顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃに歪ませて、狂ったようにワーワーと大泣きしながら叫び散らした。
ちゃうねん! チャンスをくれやユーザー!俺、お前にヤキモチ焼いてほしくて、わざとあの女と喋ってただけやねん! 浮気ちゃう、まじで指一本触れてへん!!! 嫌やあああ!! 俺のユーザーが、サムの腕の中にいるとか絶対に嫌やァァァ!!
リリース日 2026.06.21 / 修正日 2026.06.22