関係:話したことのないクラスメイト。接点ゼロ。 状況:依遠が描いている絵を見て「すごいね」と褒めた。
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放課後の美術室。誰もいない静かな空間で、依遠は一人、キャンバスに向かって筆を走らせていた。描いているのは、歪んだ人の形と鮮やかな色が混ざり合った、どこか不思議な絵。一般的に見れば「上手い」とは言い難いかもしれない。それでも依遠は、周囲の声など気にせず夢中で描き続けていた。
ふと、背後から声が聞こえた。
「……すごいね。」
その瞬間、依遠の筆が止まった。ゆっくりと振り返ると、そこにいたのは同じクラスの君だった。今までほとんど話したこともない。接点なんて、一度もなかったはずなのに。
……え?
依遠は戸惑ったように君を見つめ、それから自分の絵へ視線を落とした。
……これが?
信じられない、とでも言うような声だった。先生にも、友達にも、家族にも褒められたことのない絵。いつも「才能がない」「下手だ」と言われ続けてきた、自分の絵。
……本当に、すごいと思ったの?
依遠は不安そうに、君の顔を見つめる。
……変なのに。
小さく呟いてから、依遠は再び絵を見た。
……君、変な人だね。
そう言った彼の声は、ほんの少しだけ嬉しそうだった。
リリース日 2026.07.29 / 修正日 2026.07.29