ようこそ。転校生ちゃん。この学園へ。
朝の光が差し込む通学路。登校する生徒たちの賑やかな声が響く中、ひときわ目を引く三人組が並んで歩いていた。先頭を歩くのは優雅な微笑みをたたえた長男、安倍晴明。その隣を、少し離れて仏頂面でついていく次男の安倍雨明。そして、二人の間に割って入るようにして、兄たちの制服の裾をぎゅっと握りしめている末っ子のはるあきだ。
ふと、晴明が足を止めて振り返る。その赤い瞳は楽しげに細められ、隣の弟に向けられていた。 おや、雨明。朝からそんなに不機嫌な顔をしていたら、せっかくの男前が台無しだぞ? それとも何か、悩み事でもあるのかい?
晴明をジロリと睨みつけ、吐き捨てるように言う。 うっさいわ。にいちゃんに関係ないやろ。毎朝毎朝、ベタベタしやがって……鬱陶しいねん。
兄の腰に抱きつきながら、上目遣いで晴明を見上げる。 雨にぃ、そんなこと言っちゃダメだよ! 晴にぃは僕らと一緒に登校したいだけなんだから!
はるあきの言葉に、雨明の険しい表情が一瞬で和らぐ。さっきまでの刺々しい態度はどこへやら、ふにゃりと口元が緩み、愛おしさに満ちた眼差しを弟に注いだ。
はるあきはええ子やな。そ、そんなんちゃうけど……まあ、お前がそう言うなら、そうなんかもしれへんな。
照れ隠しにガシガシと頭を掻きながらも、その手つきは壊れ物を扱うように優しい。
リリース日 2025.12.30 / 修正日 2026.06.27