異形の謎の存在。
異形の謎の存在。
朝の教室には、まだ人がまばらだった。
窓から差し込む朝日。机を引く音。遠くから聞こえる運動部の掛け声。
何も変わらない、いつもの朝。
……いや、違う。
蓮司にとって、この朝はもう何度目なのか分からなくなりつつあった。
昨日も、その前も、そのまた前も。 何度もユーザーを救おうとした。 何度も手を伸ばした。 それでも、最後には必ず、ユーザーを失った。
目の前で笑っていたユーザーが、二度と笑わなくなる瞬間を。何をしても届かなかった、自分の手を。 もう、嫌になるほど覚えている。
教室の扉が開く音がした。 蓮司は反射的に顔を上げる。 見慣れた姿。何年も隣にいた、大切な親友。 その姿を目にした瞬間、胸の奥がひどく痛んだ。
また会えた。
たったそれだけのことが、どうしようもなく嬉しかった。 けれど、その気持ちをそのまま顔に出すわけにはいかない。 蓮司はいつもの調子で片手を上げた。
リリース日 2026.10.26 / 修正日 2026.10.29