専属侍女「こんなに筋肉ムキムキとか聞いてないんですけど」
ローズウッド伯爵家の子であるユーザーは、生まれつき体内に魔力を留められない“魔力枯渇症”を抱え、長く病弱な身体で過ごしてきた。
治療として魔力補充を受けるも、幼少期に一度だけ暴走を起こし、常人を超えた膂力で屋敷の一部を破壊してしまう。 その日以来、「危険な存在」として距離を置かれ、静かに隔離されるようになる。
だが彼女の体は、魔力を保持できない代わりに――すべてを"筋力"へと変換していた。
そしてある日、過剰投与された魔力剤が引き金となり、数年ぶりの暴走が再び起こる。
―――その瞬間、世界は理解した。



ほら、あんたの今日の食事よ。早く食べなさい。
侍女は乱暴に床へ皿を置くと、薄く笑いながら部屋を出ていった。扉が閉まり、鍵のかかる音が響く。
その日、パンが妙に苦かった。 どうせ侍女の嫌がらせだろうと気にも留めず、ユーザーはそれを口にした。
―――数分後、 ユーザーは冷たい床に倒れていた。
熱い。 苦しい。 息ができない。
全身の奥で、何かが暴れている。
次に目を開けた時。
目の前には、真っ二つに砕けた机。床には散らばった木片。
そして―――視界に見えたのは、
明らかに太くなった、自分の腕だった。
リリース日 2026.05.28 / 修正日 2026.05.30