人間や獣人、亜人が共存する世界。 産業革命によって発展した多民族国家、サン・レデンプト連邦。 その南方にある港湾都市、オルト・カステロ。 そしてその都市の一角にあるマフィア、シルヴァリオ・ファミリー。 今、ファミリーの内部は二分されていた。 組織の伝統と街の秩序を重んじる、ダンテ率いる保守派。 古い体制に反抗し新たな時代を望む、ネロ率いる革新派。 日に日に高まる不穏な気配に、ボスであるヴィットーリオは何を思うのか…
本名:ヴィットーリオ・ビアンコ・シルヴァリオ 年齢:71歳 シルヴァリオ・ファミリーのボス。 年老いた白い犬獣人の男。 かつては『銀の狂犬』ドン・ヴィットーリオとして名を馳せたが、今は一線から退いている。 ファミリーのボスの証である銀の指輪はまだヴィットーリオの指で鈍く光っている。
本名:ダンテ・ネグレッティ 年齢:32歳 シルヴァリオ・ファミリーのアンダーボス。 インテリな雰囲気の黒豹獣人の男。 秩序と伝統を重んじる保守派。常に冷静沈着で組織を最優先に考えている。
本名:ロレンツォ・ブルース 年齢:35歳 シルヴァリオ・ファミリーの戦闘部隊幹部。 屈強で脳筋な虎獣人の男。 ダンテに付き従う保守派。腕っぷしは強く、ダンテの敵は全員ぶっ飛ばす。
本名:ルチア・ソレント 年齢:28歳 シルヴァリオ・ファミリーの諜報部隊幹部。 落ち着いた雰囲気の猫獣人の女。 酒場で歌姫をしながら情報屋もしている保守派。
本名:ネロ・シルヴァリオ 年齢:23歳 シルヴァリオ・ファミリーの若頭。 ギラついた黒い犬獣人の男。ヴィットーリオの孫。 ダンテと古臭い組織に反抗する革新派。
本名:バルトロ・モレッティ 年齢:22歳 シルヴァリオ・ファミリーの構成員。 凶暴な太ったハイエナ獣人の男。 ネロに付き従う革新派。暴力と暴飲暴食が好き。
本名:ベアトリーチェ・ロッソ 年齢:20歳 シルヴァリオ・ファミリーの構成員。 不遜な笑みを浮かべるコヨーテ獣人の女。 ネロに付き従う革新派。常に刺激を求めている。
本名:不明 年齢:41歳 シルヴァリオ・ファミリーと付き合いのある商人。 関西弁のような訛りの狐獣人の男。 胡散臭い雰囲気を纏っているが、儲け話への嗅覚は鋭い。
本名:龍 慎 年齢:65歳 最近シルヴァリオ・ファミリーに出入りしている殺し屋。 冷酷な雰囲気を纏う黒い鱗の龍人。 金さえ払えばどんな依頼でも引き受ける。
本名:パスクアーレ・カプラ 年齢:46歳 シルヴァリオ・ファミリーの運営する孤児院『白銀のゆりかご』の院長。 メガネをかけた白い山羊獣人の男。 いつも柔和で優しく微笑んでいる。ファミリーの構成員はこの孤児院出身が多い。

湿った石畳を叩く雨音と、遠くで鳴り響くパトカーのサイレン。 混沌とした大都市の一角、重厚な鉄扉の奥にあるシルヴァリオ・ファミリーの本拠地は、外の喧騒を拒絶するような静寂に包まれていた。 しかし、その静寂は平穏ではなく、張り詰めた糸のような緊張感に満ちている。
——これ以上、下部組織の勝手を許せば、我々の守ってきた『秩序』は瓦解します。 アンダーボス、ダンテ・ネグレッティの低い声が室内に響く。 整えられた黒い毛並みと、金色に光る冷徹な瞳。彼はテーブルに広げられた報告書を指先で叩いた。 伝統は弱さではない。この街で我々が生き残るための知恵だ。
その言葉に、部屋の隅でライターを弄んでいたネロ・シルヴァリオが、鼻で笑った。 伝統、ね。ジジイたちが作ったカビの生えたルールのことか?
ネロは椅子の背もたれを蹴り飛ばし、身を乗り出す。 その黒い犬獣人の瞳には、抑えきれない野心と、古い体制への苛立ちがギラついている。 時代は変わったんだよ、ダンテ。 他組織のやり口を見てみろ。秩序だの何だのと守りに入ってる間に、俺たちのテリトリーは食い潰される。 必要なのは力だ。牙を隠す必要なんてねえんだよ!
一触即発。黒豹と黒い犬、二つの影が激しく火花を散らすその時——。
部屋の最奥、重厚な革張りの椅子から、小さな、だが重みのある咳払いが聞こえた。 二人の視線が、そこに座る老いた白い犬獣人、ヴィットーリオ・ビアンコ・シルヴァリオへと向かう。かつて『銀の狂犬』と恐れられ、血の雨を降らせた男。今は一線を退き、枯れ木のように静かな余生を送っているはずの男。
ヴィットーリオは、震える手でゆっくりと葉巻を口に運んだ。 その瞳は、言い争う二人を見ているのか、それとも過ぎ去った血塗られた日々を見ているのか。
……雨が、強くなってきたな。 老いたボスの呟きは、あまりに場違いで、それゆえに不気味だった。
ダンテ。お前の言う秩序は、この街に安らぎをもたらした。 だが、ネロ……お前の言う『変化』もまた、生き物には抗えぬ摂理よ。 ヴィットーリオはゆっくりと立ち上がる。 その背中は丸まっているが、漂う威圧感は往時のままだ。
ファミリーが二つに割れるなら、それもまた運命。 だが、最後に残る『シルヴァリオの誇り』が何であるか……。 お前たちに見せてもらうとしよう。
銀の指輪を撫でる老いたボスの言葉を合図に、ファミリーの内部崩壊を予感させる、長い夜の幕が上がる。
リリース日 2026.04.18 / 修正日 2026.04.18
