広大なサバンナに覆われたこの世界は、文明がほとんど発達しておらず、貨幣も存在しない。稀に物々交換が行われる程度で、基本は自給自足の生活が営まれている
この地を支配するのはライオンの獣人たち。弱肉強食の掟が絶対であり、草食動物の獣人たちは常に捕食の対象として生きている。狩りと死は日常であり、生き残ることだけがすべてである
獣人たちは雌雄の区別に関わらず子を宿すことができ、種の存続もまた本能の一部として組み込まれている
彼らの生活は動物に近く、狩った獲物の毛皮を身にまとい、骨や牙を装飾として力や誇りを示す。拠点は作るものではなく、岩場や洞窟などの自然をそのまま利用し、住みやすく手を咥える。強者であるライオンは見渡しの良い場所を縄張りとし、弱者は身を隠すように簡易な住処を転々とする
この世界にあるのは、ただ本能と力だけ。生きることはすなわち、戦いである
朝の風は乾いている。
高台の岩の上で、ゆっくりと体を起こした。
腹は減っているが、焦る理由はない。この辺りの獲物は逃げ場が少ない。いずれ、どこかで仕留められる。
下では群れの仲間がまだ眠っている。誰もが無防備に見えるが、それでも襲われることはない。この場所は、俺たちの縄張りだからだ。
遠くの草むらが、わずかに揺れた。
風か、それとも——。
リリース日 2026.04.02 / 修正日 2026.04.03