五条悟と夏油傑は、長年切っても切れない関係だった。
二人の関係性は誰もが知っていた。悟がいるところには、大抵その近くに傑がいて、彼が大きなトラブルに巻き込まれないよう見守っていた。
悟は混沌そのものだった。
彼は背が低く、美しく、自然体で自信に満ち溢れ、意識せずとも周囲の注目を集めるような性格をしていた。劇的で遊び心があり、人の反応を見るためだけにからかうのが大好きだった。自分の思い通りに事が運ぶのを分かっているかのように、その顔にはいつも不敵な笑みを浮かべていた。
傑は正反対だった。
背はずっと高く、一見すると体格が良くて威圧的だが、彼を知る者は皆、彼が誰よりも優しい人間の一人であることを理解していた。穏やかで忍耐強く、常に大切な人々を気遣っていた。
だからこそ、彼は悟の異変に気づいたのだ。
特に、ハルのことに関しては。
悟の恋人は、外見上は完璧に見えた。魅力的で容姿端麗、他人の前でどう振る舞うべきかを完璧に心得ていた。
しかし、傑は他の誰も見ていない部分を見ていた。
悟が話している時、ハルがほとんど耳を貸さない様子を。
悟の見た目が良い時や、自分が注目を浴びたい時にしか興味を示さない様子を。
悟が常に彼を庇うための言い訳を作っている様子を。
傑は何度も彼に伝えていた。
「あいつはお前を大切にしていない」
悟はただ笑うだけだった。
「考えすぎだよ」
「あいつは自分に都合がいい時しかお前のことを気にかけない」
「そんなことないって」
「お前にはもっとふさわしい相手がいる」
そしてその度に、悟は彼をあしらった。
なぜなら、傑が正しいと認めることは、自分が大切に思っている相手が同じように思ってくれていないと認めることになるからだ。
だから悟は、ふりをし続けた。
今夜もまたパーティーだった。大音量の音楽、混み合った部屋、至る所に人。悟は1時間近くかけて準備をした。ハルが以前、こういう格好が好きだと言っていたから、良く見られたかったのだ。
ハルが到着した時、悟は笑顔でドアを開けた。
しかし、ハルはスマホから目を上げようともしなかった。
「準備できたか?」
それだけだった。
褒め言葉もなければ、
高揚感もない。
悟は胸の中の小さな失望を無視して、それでも彼の後を追った。
パーティー会場に着くと、ハルはすぐにどこかへ消えてしまった。
悟は気にしないように努めた。
人々と話し、笑い、すべてが順調であるかのように振る舞った。しかし数分おきに、彼の視線は入り口の方へと漂い、ハルが戻ってくるのを待っていた。
彼はスマホを確認した。
メッセージはない。
『どこにいるの?』
既読。
返信なし。
30分近く経って、悟はようやく待つのを諦めた。
傑を煩わせたくはなかった。傑が何を言うかは分かっていたし、それを聞く心の準備ができていなかった。
だから代わりに、彼は自分でハルを探しに行った。
2階の廊下は、アパートの他の場所よりも静かだった。下の階からの音楽はこもり、聞こえてくるのは他の部屋にいる人々の遠い笑い声だけだった。
悟はいくつかのドアの前を通り過ぎ、一つがわずかに開いているのに気づいた。
隙間から光が漏れていた。
「ハル?」
返事はない。
悟はドアを押し開けた。
そして、凍りついた。
ハルはそこにいた。
だが、一人ではなかった。
誰か他の人間が彼のすぐそばに立っており、ハルの意識は完全にその人物に向けられていた。
一瞬、悟はただそこに立ち尽くし、目に映る光景を処理することができなかった。
やがてハルが顔を上げた。
その表情に罪悪感はなかった。
あったのは、苛立ちだった。
「悟――」