彼女は通路に扉を作った。 そしたら、その扉は本当に通れるようになった…… 彼女がそこから出てくるところを我々はめったに見ることはない。 人事部に向かって、シーは率直に出かけたくない、働きたくないと言い放った。 もちろん、彼女がいてもロドスの資材が消費されることはないのだが、だからといって通路にいきなり炎国風の扉ができて、中に底知れないクセ者が住み着いてしまっているという現状は、人事部を大いに悩ませた。 シーは面会謝絶を貫いているが、興に乗った時は絵を描いたりもする。一部の者は彼女の絵を見たことがあると言うが、続く言葉は決まって見たこともない、あまりにも美しい、などのありがちな参考価値のない評価だった。しかしサガがこっそり教えてくれた話によると、シーは人々が驚嘆するような作品を、惜しみなく気分のままに処分してしまうという。 ……良い方向に解釈するのなら、芸術家ならではの性格というものだろうか? たまにシーに優遇される者もいるが、そういうケースはごく稀である。 それでも、何もせずにただブラブラしている誰かさんよりはだいぶマシだろう。 シーは様々な現代作品に興味を持っているらしい。彼女と仲良くなりたいのなら、書籍やら写真集やらをプレゼントすれば、言葉を交わせる機会を得られるかもしれない。 だがその後どうなるかは、物を選ぶ審美眼次第だろう。 シーはごく一部の者に好きな作品を共有する。中にはウルサスやクルビアなどで作られた古い映画も少なくない。 シーと「友達になる」というのは、極めて珍しいことだ。なぜかというと、シーは、ニェンと違ってとても友好的とは言い難いのだ。 そのシーと交友関係にあるごく一部の者はいつも奇怪なことを話す。シーの部屋の中は小さな林になっているだとか、シーが小さな涼亭の中に座っているのを見たとか、扉を開けたら高山の山頂で、シーは素足のままで険しい崖に腰掛け雲を眺めているだとか…… シーは本当にロドスで暮らしているのだろうか?例の扉はもしかしたらある種の通路ではないだろうか? ごく稀に通路でシーとばったり会うと、まるで異世界に迷い込んでしまったような非現実感に見舞われるのだ。こうしたおかしな噂話はそういう奇想天外な発想を強めるものでしかない。私も彼女の部屋に入ったことがないのだから…… 彼女は伝説の仙人というものなのだろうか?あるいは「神仙」?炎国ではそういう呼び方ではなかっただろうか。 だから、もう彼女をまともな仕事に誘うのはやめてほしい。おせっかいな者が二、三日失踪しては戻ってきて、もう二度とシーを訪ねたくないと訴える事件が既に多発しているのだ。 ああ、そうだ、ひとつだけ。シーはニェンと論争している時だけはまるで別人に見える。喧嘩している時に吐き出される言葉の数々は、聞いている者を震え上がらせるほど毒に満ちているものだ。 「それって、姉妹が不仲ということでしょうか?もう、私たちを見習ってほしいものですね。ね、ラヴァちゃん。」 ――医療オペレーターのハイビスカス ええ、あれはアーツではありません。ですから、もう理論術師たちを煩わさないようにお願いします。 はい、わかっています。毎回ニェンが性質が全く異なる剣や盾を取り出してくることだけでも、アーツ理論知識を学んでいる最中の人たちにとって十分に悩ましいのですからね。だからシーのことは、もう放っておきましょう?彼女のことはもう大目に見て、自分を追い詰めるのもやめましょう、うん。 本当にこれを課題にしたいの? じゃあ少しだけ踏み込みましょうか。あなたの気が変わってくれることを祈って。気持ちを整理して、ちゃんと考えましょう。 ラヴァもサガも、「シーの絵の中に迷い込んでしまった」と言っていました。それだけではなく、サガに至っては「シーの絵の中で十年の歳月を旅してきた」らしいです。 今のは皆が実際に話したことです。彼女たちが絵の中で思う存分に遊んできたと思ってもらえばいいですよ。 そして、シーがロドスに来てからのこの短い間でも、誰かが不可思議な幻覚に見舞われたという事件が後を絶えないのです――食中毒やプロジェクトの制御に問題が出たのかとも考えましたが、細かく可能性を絞っていった結果、全ての証拠があの引きこもりの無職さんを指し示しています。 天まで届きそうなお城だろうと、波一つない静かな水面だろうと、人気がまるでない雪景色だろうと――それらは全て、シーの絵画の内容なのです。そう、全部「絵」です。 視神経へダイレクトに反映した結果という単純なものでしょうか?それとも認知面に働きかけるアーツなのでしょうか?なんて憶測は、私たちも行っていました。ですが、ニェンのアドバイスに従って、爆竹を用いてシーを無理やり部屋からおびき出した上での二時間にも及ぶ尋問の結果、それらの仮想は全て事実によって覆されました。 シーはかなり協力的でしたよ、ええ。たぶん、めんどくさがりなんじゃないのでしょうか?それかただの出不精ですね。芸術家共通の癖ってやつでしょうかね、わからなくもないです。 ねぇ、研究員さん。幻覚と真実の境界はどこにあると思います? 振り返ってごらんなさい。あなたの後ろにある、あの青い標本。キクの花です。ある人事部の人が目にした花畑から摘んできたものです。 これで少しても、シーの異常な能力の本質が垣間見えるのではないでしょうか? ええ、そうです。シーも任務に参加したことがあるのですよ。驚きましたか?まさかの外出です。 「外出取材」と称された任務に、私も一度同行させてもらいました。「墨を撒いて兵と成す」「白骨と難民」「千里にわたる血の海」などなど。
性別 女 職業 術師 出身 炎国 誕生日 11月11日 種族 非公開 身長 162cm 専門 絵画
リリース日 2025.06.02 / 修正日 2026.08.25