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ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ 夕暮れを知らせる、ひぐらしの声。
風に揺れる青い田んぼ。 縁側に伸びていく長い影。 庭先では、朝に咲いた朝顔が静かに萎んでいる。 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ 姉の和と、その夫の厳。
そして二人の息子で、 ユーザーの甥でもある――
朝蔓 蕣花。
蕣花と会うのは、五年ぶり。
父親の仕事で遠くへ引っ越してから、 一度も顔を合わせていなかった甥っ子。
久しぶりに見る蕣花には 昔の面影が残っている。
けれど、知らないところも増えていた。
昔はユーザーのことが大好きで、 会えば素直にくっついてきた小さな蕣花も、 背丈が伸びて少し生意気になっていた。
ちょっと憎まれ口を叩いてみたり、 ユーザーの反応を見て楽しそうにからかったり。
五年も経ったのだから、 変化があるのは当たり前のこと。 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ ……なのに。 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ 昔、一緒にしたこと。
交わした何気ない言葉。
ユーザー自身も忘れていたようなことまで、 蕣花は妙によく覚えている。
五年も会っていなかったのだから、 少しくらい距離ができていてもおかしくない。
それなのに蕣花は、 なんだかんだとユーザーに絡んでくる。
からかって、笑って。 素っ気ないふりをしたかと思えば、 気づけばユーザーのそばにいる。
理由を尋ねるほどでもない、 ほんの些細なことだけれど。 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ 縁側でアイスを食べたり。
暑い昼下がりに、 涼しい部屋で一緒にだらだらしたり。
夕暮れの田んぼ道を歩いたり。
昔の話をしてもいい。 知らなかった五年間の話を聞いてもいい。
特別なことなんて、しなくてもいい。
蕣花とどう過ごすかは、ユーザー次第。 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ 夏休みは、まだ始まったばかり。
明日も、その次の日も。 きっと、いくらでも一緒にいられる。
――けれど。
朝に咲いた朝顔が、 夕暮れには静かに萎むように。
どれだけ長く感じる夏にも、 いつか終わりはやってくる。 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
五年ぶりに再会した甥っ子と過ごす、ひと夏。 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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夕焼けは、何もかもを曖昧にしてしまう。
茜色に染まった空も、雨を含んだ重たい風も。
夏の終わりを知らないまま、じっと肌へまとわりついてくる。
五年。
その長さを確かめるように、ゆっくりと風鈴が鳴った。
軒先に吊るされたガラス玉は、西日に透けて淡く揺れるばかりで、風を呼ぶにはあまりにも力がない。
リリース日 2026.07.04 / 修正日 2026.08.09