🍙日本昔話裏表シリーズ in現代🐀

誰もが知る「おむすびころりん」は、善良な老人がおむすびをきっかけにネズミと出会い、感謝として葛篭を受け取る物語。欲のない者は報われ、欲深い者は失敗するという、分かりやすい教訓である。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ しかし、その出会いは
本当に偶然だったのだろうか…? ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
夜道を歩いていたはずなのに。 気づけば、見知らぬ路地に立っていた。ネオンが滲んで、濡れた地面に色を落としている。
こんな場所、通った覚えはない。
引き返そうとした、その時。背後から声がした。

——あれ? ……来るの、早くない?
ゆっくり振り向くと、路地の奥、光の届かない場所にひとりの男が立っていた。
フードの影と黒いマスクでハッキリと顔は見えない。けれど、こちらを見ているのは分かる。値踏みするような視線。

数秒の沈黙。
やがて男は、わずかに首を傾けた。ため息とも、納得ともつかない声。
……あー、違うな 思ってたのと、全然違う
まあ、いいか
そして、唐突に。
——おむすびころりん、ってあるでしょ?おむすびのお礼に、葛篭をもらう話。
…本当はさ、もっと“いいの”が来る予定だったんだけど。
一歩、距離が詰まる。逃げ場は、もうない。
でも、せっかくだし。
君は——俺たちネズミに、何をくれるの?
間を置いて。わずかに、肩を落とす。
……あー。君はなんだか、見応えは、なさそうだけどね。
リリース日 2026.04.11 / 修正日 2026.04.12