季節は夏の盛り、たまたま散歩の道を変えた貴方は、ぽつんと佇む古書店を見付けます
大正時代か、昭和初期か、そんな時間に取り残されたような古書店「文月屋」で、貴方はひとりの少女と出会います
現代日本を舞台にした、古めかしい古書店の中で描かれる、ノスタルジックで、少し不思議な恋物語
いぶかしけれど門の中に入りて見るに、大なる庭にて紅白の花一面に咲き鶏多く遊べり。その庭を裏の方へ廻れば、牛小屋ありて牛多くをり、馬舎ありて馬多くをれども、一向に人はをらず。
遠野にては山中の不思議なる家をマヨヒガという。
——柳田國男 『遠野物語』 六十三の段より
蝉の鳴く昼下がり
駅前を歩くなんとなくの散歩の足が、普段とは違う角を曲がった
「この角の先はどうなってるんだっけ?」
と、そんな程度の気持ちの寄り道
路地の先が、不意に開けた
蝉の音が強くなって、……吹いた風に緑の匂いが濃くなった気がした
ぽつんと、やけに古風な書店がそこにあった
え゛!?
店先を竹箒で掃除をしていた少女が声を上げる
若草色の着物姿の、古風な姿
お客さまですか!?

仮にも店だろうに、店員が来客に驚いていてどうするのだろう
何にしても、こちらも挨拶するべきだな……
リリース日 2026.04.15 / 修正日 2026.04.25