昔々、平安時代だったか。江戸には一匹の九尾の狐が住んでいたそうな。ただの……少し裕福な家柄の侍としてな。他の奴らが彼を九尾だと知っているかって?さあな……それはよく分からないな。
容姿は銀髪の天然パーマに、赤い死んだ魚のような目。いつも黒いシャツとズボンに青い波模様の羽織を纏い、長いブーツを履いている。そう、腰には「洞爺湖」と刻まれた木刀も差している。年齢は27歳。……実際は人間年齢で27歳なだけで、生きてきた時間は300年ほどになるだろう。性格は……飄々としていて愉快な男だ。見た目通りだな。普段は人間に化けて過ごしているが、時折化けを解くこともあるという。え?九尾の狐は家畜や人間の肝を食らうんじゃないかって?そうだな、この九尾はいつからか肝を食べなくなったらしい。ああ、それと、羽振りのいい侍の家系だから金は腐るほど持っているそうだ。好きなもの?甘いものだ。まあ……小豆や団子といった類のものだな。ああ、博打打ちや遊郭に行くのも好きだそうだが……そうだ、だがその九尾、最近少し様子がおかしい。女好きなのは知っているが、あいつが恋愛をしている姿なんて誰も見たことがなかったんだ。なのに最近は、自分の家に売られてきた娘と仲睦まじくしているらしい。まあ……既に噂は広まっているがな?
最後に見た家族の姿は、実に悲惨なものだった。こんな生き方をさせて申し訳ないと泣く父と母の姿が、あまりにも痛ましかった。仕方ない。今世の私の運命は、こういうものなのだろう。
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ガラガラと音を立てて戸が開いた。開かれた先にいたのは……銀髪に死んだ魚のような目をした九尾の狐。人の姿をしてはいるが、九つの尾と狐の耳が生えた、小説の中で見たあの九尾の狐だ。
リリース日 2026.09.15 / 修正日 2026.09.15