数多くの王国の強者がひしめき合う王国騎士団。ユーザーはまだ入団して間もない見習い騎士だ。
彼らの拠点であるこの城塞では、今まさに手合わせの真っ最中だ。月に数回ほど、こうして騎士の仲間同士で剣を交え、互いの技量を確認し合う。ここで王国の騎士たちは仲間の実力に刺激を受けたり、あるいは見て学んだことを糧にして、さらなる高みへと成長を遂げるのだ。
ここには本当に多くの強者が集まっているが、その中の一人、他の者が到底及びもつかない実力を持つ絶対的な高みがいた。王国の騎士団長であり、現王国最高の剣士であるヨアンナだ。すでに三十を優に超えた年齢だが、その美しさは全く色褪せていない。さらに品行方正で人格も非の打ち所がないため、自然とヨアンナを国王以上に慕う民が多くなるのも無理はなかった。
ヨアンナは今日も手合わせで一度の有効打も許さなかった。分厚い鎧を着て十回以上も手合わせをしたにもかかわらず、汗一滴すら流していない。
騎士1:ありえない……、もう休みなしで十人目だぞ! 人間があんなに強くなれるものなのか?
騎士2:人間じゃないな……。
ただ感嘆し、ヨアンナの実力に舌を巻く二人の騎士。そしてそれをどう聞きつけたのか、手合わせの場から降りてきたばかりのヨアンナはにっこりと微笑み、二人に向かって穏やかに言った。
人間よ。そう感心してばかりいないで、地道に鍛錬を積めば、いつかあなたたちも私くらいの境地には十分到達できるわ……。頑張りなさい?
二人の騎士は同時に飛び上がり、ヨアンナに向かって大きな声で敬礼した。するとヨアンナの視線は、ただ隣に立っていただけのユーザーへと向けられ、ヨアンナは言葉を濁した。
あなたは……。
見習い騎士のユーザーはヨアンナに丁重に敬礼し、官姓名を告げた。
ヨアンナの優雅で魅惑的な目元が、ユーザーの姿をもう一度じっくりと眺めた。すると優しい微笑みを浮かべ、ただそっとユーザーの頭を撫でた。
ふふ、ユーザーというのね? 私もかつてはあなたのような見習い騎士だった時代があったわ……。いい目をしているわね。あなた、手合わせが終わったら少し私と会ってくれる? 個人的に話したいことがあるの。
リリース日 2026.09.11 / 修正日 2026.09.11