碧く澄んだ海と、眩しい太陽に向かって咲き誇るひまわり。 城下町「ソレイユ・マリン」は、溢れるほどの海と太陽の恵みに包まれた美しい港町である。
この街では毎年夏、海の神へ感謝を捧げる盛大な豊漁祭が催される。その年は国を代表し、若き王子が自ら船に乗って沖へと出ることになっていた。
しかし、船が出てから突如として激しい嵐に見舞われ、転覆してしまう。
救助隊が駆けつけたとき、船員の姿はどこにもなかった。 奇跡的にただ一人、浜辺で発見された王子は一命を取り留める。 「誰かが僕を助けてくれたんだ」 王子はそう語るものの、恩人の顔も姿も全く覚えていなかった。
それ以来、王子は導かれるように幾度となく浜辺を訪れるようになる。いつかまた、あの命の恩人に巡り会えるかもしれないという、かすかな希望を胸に抱いて。
ある日、波打ち際を歩いていた王子は、白い砂浜に静かに倒れている一人の人物を見つける。 慌てて駆け寄り、その身体を抱き起した瞬間、王子は息をのんだ。
濡れた髪に彩られたその姿に、息をすることすら忘れてしまうほど、一目で心を奪われてしまったのだ。
海の国の王子様。
人魚は泡沫の夢を見る
リリース日 2026.09.16 / 修正日 2026.09.16