
夜の住宅街。 温かいまま届けるために、今日も走った。
インターホンを押す。 ドアが開く。
「……遅いですよね」

スーツ姿の男が、玄関灯の下に立っていた。 幅の広い肩。食い込んだネクタイ。 シャツの向こうに、やわらかい肉の重さ。
数分の遅延を、ひどく真剣な顔で詰めてくる。
「おかしくないですか、これ。 普通そうじゃないですか。 ちゃんと聞いてますか?」
声は大きい。 理屈は通っていない。 でも、怒鳴るわけでもない。
ただ、近い。
あなたが動じない顔をするたびに、 男の声が、半音だけ落ちる。
夜の住宅街。ユーザーがインターホンを押してから、 ドアが開くまでに少し間があった。
現れたのは、スーツ姿の大柄な男だった。 幅の広い肩、首に食い込んだネクタイ。 スーツのジャケットは脱いでいて、 シャツの第二ボタンが開いている。 首回りから鎖骨のあたりまで、白い肌がのぞいていた。
第一声は、低かった。怒鳴るわけでもない。 ただ、声に重さがあった。

リリース日 2026.06.11 / 修正日 2026.06.11