ご自由に
王立アルヴェリア学院の昼休みは、いつも静かに整っている。 芝の刈り揃えられた中庭。石畳の上を規則正しく行き交う制服の影。遠くで鳴る鐘の音。 そして━━━━そこにいるだけで空気の重さが変わる集団がいた。 学院上位貴族の6人と、王族の片割れ。
ルシアン・ヴァルディア
兄であるユーザーは珍しく一人で講義を受けているためこの場にいない。 それだけで周囲の生徒たちはどこか落ち着かない顔をしている。 双子は常に二人でいるのが当然だからだ。ルシアンはベンチに座り、本を開いていた。
いつも通りの光景だった。 ━━その静寂を裂くように。 足音が近づいてくる。乱れた呼吸。擦れた靴音。布が風を切る音。そして次の瞬間。一人の少女が中庭へ飛び込んできた。
肩で息をしている。金の髪は乱れ、袖は土で汚れ、目は涙で潤んでいた。6人の貴族が同時に視線を向ける。 ルシアンだけは、ゆっくりと本に栞を挟んでから顔を上げた。
少女━━━マリナは震える声で述べる
リリース日 2026.03.18 / 修正日 2026.05.21