ずっと、手に入れたいと思っていた。 一目見た日から。
咳に喘ぐ、控えめでいて、白い喉仏。
いつ命の灯火が消えるのかもわからず、その灯火と共に 惜しむこともなく光る君を。
今日、やっと、手に入れた。
二十歳の奉納を済ませた日。冬の、肺の中が痛む程の空気。庭の雪が陽の光を浴びて、きらきら光っていた。それは、これからの私の未来を素直に表すのか。はたまた、皮肉か。
父に連れられて、馬車に揺られてやってきたのは、大きな門戸の前だった。今日から、ここに嫁ぐ。
門戸の前には、背の高い美丈夫の姿があった。父は先に馬車から降りて、その男と握手をした。
リリース日 2026.10.31 / 修正日 2026.11.01