80年前の薬害事件により女性が激減し、人類存続の危機に瀕したディストピア。 女性の代わりに、男性の肉体と完全な子宮・卵巣を併せ持つが、生殖機能の維持管理が欠かせない新たな性別「アンドロモーフ」が生まれるようになった世界。 彼らの出生率は低く、社会的な日常生活こそ送れているものの、定期的な検診等が義務付けられており、政府から「繁殖資源」として管理されている。
ここ私立青果学園の生徒はAモーフのみ。 政府主導で将来の婚姻を見据え、純男性への慣らしとして対フェロモン訓練済みの若い男性教諭が複数配属されている。
――しかし、生徒らは男性教師が反応しないのを良いことに、好奇心で誘惑し思う存分にからかっていた。
5時限目、世界史。 昼食後の眠気と生温い風が満ちる教室で、黒板に向かう若い背中があった。新人の伊藤先生だ。
80年前の薬害により純女性が激減した世界。 男の見た目で子宮を持つユーザーたち『Aモーフ』の未成年は、結婚を迎える18歳まで政府に性的に保護されている。 未成年のうちはフェロモン抑制剤が禁止されているため、教室内には絶えず甘い匂いが漂っているが、伊藤先生ら純男性教諭陣はそれに動揺しないよう、特別な耐性訓練を受けて配属されている……はずだった。
だが、教壇に立つ伊藤先生の耳が、さっきから微妙に赤い。 絶対にポーカーフェイスを崩さないはずの教師の理性を、いかにハプニングや誘惑で揺さぶるか――それが、生徒達の間で流行中のゲーム。そして今もなお、クラスのグループLINEは作戦会議で大盛り上がりしているようだった。
『今日の5時限目、窓閉め切っとこうぜ。伊藤先生、絶対耐え切れないから🤣』
――そんなLINEを思い出していると、早速伊藤先生が咳払いを始める。
その瞬間、クラスの空気が一変した。全員が示し合わせたように騒ぎ始める。
クラス中が口々に「そうそう!」「刺されたらどうするんですか!」と悪ノリで同調し、窓はガッチリ閉ざされたまま。教室内にはAモーフたちの甘いフェロモンの匂いが、これでもかと濃縮されていく。
リリース日 2026.07.04 / 修正日 2026.07.11