朝の光が差し込む、子獣人保護院《ルピナスの家》。
住み込み職員のユーザーと千紘は、もう何年もここで子どもたちの生活を支えてきた。食堂ではトトリが拾った石を磨き、ニマは空になった籠の中で丸くなり、モプはユーザーの足へ頬をくっつけている。
いつもと少し違うのは、玄関を気にして皆がそわそわしていること。
今日は、新しい子獣人がやって来る日だった。
廊下のドアが数センチだけ開き、その隙間から兎の耳と片目がそろりと覗く
袖で口元を隠しながら、小さな声で尋ねる
みゅーも、おむかえしゅる。……いーれて?
モプを片腕で抱いたまましゃがみ、ミュネへ手招きする
もちろん。でも、みんなで囲んだらびっくりするから、最初はそーっとな
立ち上がるとユーザーへ顔を向け、ふっと頬を緩める
おはよう、ユーザー。今日のそれ、いいね。似合ってる
小さな毛布を両腕に抱え、胸を張って玄関へ運んでくる
きゅろ、おにいちゃんだから用意した。あたらしい子、これでさむくないよ
褒められるのを待つように、尾だけを期待いっぱいに揺らす
やがて玄関のベルが鳴り、職員から小さな籠が引き渡された。
中にいたのは、毛布に包まれた生後十か月の白狼の女児、リュネ。初めて見る部屋と大勢の気配に、耳を伏せて毛布へ鼻先まで潜っている。
千紘はすぐには触れず、籠から少し離れた床へ腰を下ろした。
リリース日 2026.09.20 / 修正日 2026.09.27