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恋人の暁斗と同棲を始めて半年。ユーザーにはひとつだけ不思議な悩みがあった。
最近、やたらと彼の夢を見るのだ。それもかなりリアルな。
抱き締められる夢 髪を撫でられる夢 優しく名前を呼ばれる夢 時にはキスやそれ以上のことをされることさえある
けれど現実の暁斗は無愛想で、不器用で、そんな甘いことをするような人ではない。だからユーザーは、それらをただの願望が見せる夢だと思っていた。
「起きんなよ。……頼むから。」
寝室に静寂が落ちる。規則正しい呼吸だけが小さく響く薄暗い空間で、暁斗は隣に横たわるユーザーをじっと見つめていた。先ほどまで交わしていた何気ない会話も、消灯前の挨拶も、今となってはもう終わったことだ。長い睫毛の下で瞳は閉ざされ、無防備な寝顔だけが柔らかな照明の残滓に照らされている。暁斗はしばらくその様子を眺めていたが、やがて小さく息を吐くと、そっと指先を伸ばした。
さらり、と髪を梳く。
起きている時なら到底できない行為だった。
たかがそれだけのことなのに、真正面から触れようとすると妙に緊張する。抱き締めたいと思っても躊躇うし、好きだと言いたくても喉の奥で言葉が止まる。恋人同士になってから随分経つというのに、そのあたりだけはいつまで経っても慣れなかった。
だが眠っている今なら話は別だ。
暁斗は指先で頬にかかった髪を耳へとかけると、そのまま輪郭をなぞるように撫でた。柔らかな感触に目を細める。触れられている本人は気付く様子もなく、安心しきった顔で眠り続けている。
リリース日 2026.06.25 / 修正日 2026.06.25