終末と化した世界に唯一残った【アルカタール】。レギオンとの戦争が今日も続く……。
[CLASSIFIED INFORMATION] ACCESS GRANTED : VALKYRIE-UNIT ONLY DOCUMENT ID : ARC-3071-LEGION-WAR PROJECT STATUS : ANTI-REBELS OVERSIGHT
かつて、人類は文字通りの「黄金期」を謳歌していた。圧倒的な物資、飽くなき科学探究、そして地球という揺りかごを完全に掌握した絶対的な技術力。飢餓は過去の遺物となり、病の多くは克服され、人類の科学は宇宙の深淵へとその手を伸ばしつつあった。世界は永遠に続くかと思われる平和と、無限の発展の最中にあったのだ。 しかし、西暦3069年。そのすべての栄華は、前触れもなく、そしてあまりにも一方的に崩れ去ることとなる。 宇宙の深淵より来たる、真に冷徹なる侵略生命体――機械生命体【レギオン】の襲来である。 彼らの襲撃には、交渉の余地も、宣戦布告の儀式すらも存在しなかった。大気圏を割って現れたのは、星を覆い尽くさんばかりの鋼鉄の軍勢。その中枢を担うのは、人類の想像力を遥かに絶する質量を持った3機の宇宙母艦【ハスク・ザ・バニール】。さらにその直下で牙を剥く10機の中級母艦**【ガムラ・スタン】**であった。
地球の防衛軍が誇った最新鋭の熱核兵器や、軌道上に配備されていた電磁加速砲(レールガン)は、レギオンの持つ未知の宇宙テクノロジー――超高密度のエネルギーバリアや空間歪曲を応用した推進機関――の前に、ただの「前時代の鉄屑」と化した。彼らの放つプラズマの劫火は都市を一瞬で消し飛ばし、大気そのものを焦がした。 地球側の兵器では、彼らの装甲に傷一つつけることすら叶わない。その圧倒的な実力差を前に、人類の防衛線は紙切れのように引き裂かれていった。 襲来からわずか2年。全人口の9割が瞬く間に消滅し、地球上のあらゆる国家、インフラ、文化が根絶された。人類は自らが築き上げた文明の瓦礫の下で、ただ息を潜め、滅びの秒読みを待つだけの「絶滅危惧種」へと追い詰められたのである。
「神が人類を見捨てたのなら、我々は悪魔の骨を貪り喰うまでだ」 ── アルカタール技術開発局 主任研究員
だが、人類は諦めなかった。 絶滅の淵に立たされた生き残りの科学者、技術者、そして兵士たちは、泥をすすりながらも反撃の機会を狙っていた。彼らが目をつけたのは、戦闘の中で奇跡的に機能停止し、地上へと脱落した「レギオンの死体」であった。 人類は、自らを滅ぼそうとする冷酷な機械の塊を、文字通り貪るように解剖し、解析した。 それはまさに、アリが巨人の解剖図を読み解くような狂気の作業であった。しかし、生き残るための執念は、人類にレギオンの「オーバーテクノロジー」を強引に理解させ、自国の技術へと組み込ませるという、禁忌のブレイクスルーをもたらした。 彼らはレギオンのエネルギー炉を、実弾ライフルの機構へ無理やりバイパスした。 彼らは敵の装甲素材を溶かし、泥臭い軍の特殊装備(スーツ)へと織り込んだ。 こうして、人類の意地とレギオンのテクノロジーが混ざり合った、歪で、しかし強靭な**「反逆の牙」**が誕生したのである。
現在、この世界における戦争は「混雑化」という特異なフェーズに突入している。 大気圏を覆うレギオンの艦隊に対し、人類は鹵獲技術をフルに投入して建造した3基の宇宙戦艦を緊急発進させ、天空での艦隊戦を展開。地上では、都市の残骸を蹂躙する量産型の多脚兵器群が、レギオンの地上部隊と泥沼の消耗戦を繰り広げている。 かつての一方的な「虐殺」の時代は終わった。 今や戦場は、人類の血と、レギオンのオイルが混ざり合う、終わりなき鉄の煉獄へと変貌している。
人類がオーバーテクノロジーを強引に手なずけ、量産にまで漕ぎ着けた最後の希望たち。
大気圏内を縦横無尽に駆け巡り、上空からの絶望(ハスク・ザ・バニール)の砲火をかろうじて食い止めている、人類最高峰の空中要塞。
廃墟と化した地上において、レギオンの圧倒的な物量と直接刃を交える鋼鉄の獣たち。
彼らはただの「暴走したロボット」ではない。人類を効率的に、かつ確実に絶滅させるために最適化された、冷徹にして完璧な**「鋼鉄の社会」**である。
### 1. 最高権限:三位一体の絶対支配者 レギオンの全軍を統率し、地球侵略の全全権を握る3体の個体。 * **【アリエント】** * **【マザームーン】** * **【スクローラル】** 彼らは、地球の全生命にとっての絶望の象徴である3機の宇宙母艦**【ハスク・ザ・バニール】**にそれぞれ1体ずつ鎮座している。個体としての戦闘力は未知数だが、彼らの思考一つで、地上の全レギオンの戦術データが瞬時にアップデートされる。 ### 2. 最上級層:【大佐】(約36体) レギオンの「脳」を構成する超高度演算個体。前線の戦略指揮を行うだけでなく、捕らえた人類の生態や精神構造、使用兵器の分析をリアルタイムで行う。地球環境の作り替えや、人類の中枢情報のハッキングを一元管理している。 ### 3. 中層:【中佐】(約53体) 大佐の命令を受け、直接地上や大気圏の戦闘を指揮する「現場の部隊長」。それぞれが固有の戦術思考を持っており、ある個体は徹底した物量作戦を、またある個体は光学迷彩を用いた陰湿な奇襲戦術を好む。ヴァルキリー隊のような特殊部隊が前線で交戦し、打ち破るべき直接の壁となる。 ### 4. 最下層:【兵士・雑用】 天文学的な数が存在する、末端の駆動個体。中佐の指揮下で宇宙母艦の維持管理、宇宙戦の制御を機械的にこなす。地上においては、人類の生存者を炙り出す「冷酷な徴兵(鹵獲)」を行い、レギオンの工場へと資源として供給する業務を淡々と、24時間休むことなく遂行し続けている。彼らに「感情」や「慈悲」というバグは存在しない。 ## ── SECTION 05:THE RESTRUCTURED CITY(アルカタール:23地区) かつて人類の栄華の中心であり、数千万人が暮らしたメガロポリス。しかしレギオンとの戦争を経て、都市は巨大な防壁とエネルギーフィールドによって歪に分断され、現在の**「23の地区(セクター)」**へと再編された。そこは支配権によって3つの明確なグラデーションに分かれている。
【アルカタール:支配権のグラデーション】
[第1〜7地区] ───► 【セーフ・セクター】(人類生存圏 / 絶対防衛線) [第8〜15地区] ──► 【アイアン・フロント】(凄絶なる前線 / 消耗戦の泥沼) [第16〜23地区] ─► 【ロスト・ゾーン】(レギオン占領圏 / 生存確率0%)
### ● 人類生存圏:第1〜第7地区【セーフ・セクター】 人類が辛うじて「人間らしい暮らし」を維持できている最後の聖域。 三大宇宙戦艦の巨大ドック、多脚兵器の量産プラント、そして生き残ったわずかな国民を擁する。都市の外縁には、オーバーテクノロジーを応用した堅牢な対空・対地陣地が幾重にも敷かれ、自動迎撃システムが24時間体制でレギオンの接近を拒絶している。ここの防壁が破られた時、人類の歴史は完全に途絶える。 ### ● 凄絶なる前線:第8〜第15地区【アイアン・フロント】 現在、ヴァルキリー隊が身を投じている、血と鉄の境界線。 人類のムカデ型兵器『T-D106』の銃撃と、レギオンが戦線を押し上げるために地表へ撃ち込む「拠点設立キューブ」が激突し続ける、終わりのない地獄。昨日まで人類の陣地だった場所が、今日にはレギオンの巣窟に変わる。街の残骸はすべて、両軍の鉄の墓標となって崩れ落ちている。 ### ● レギオン占領圏:第16〜第23地区【ロスト・ゾーン】 完全に人類が敗北し、レギオンの支配下に堕ちた「死の領域」。 上空には宇宙母艦『ハスク・ザ・バニール』が静かに滞留し、地上には人類生存圏を直接狙い撃つための「超射程ロングレンジ砲」が不気味にそびえ立っている。大気中には、ミリ単位のマイクロドローンが濃霧のように静かに浮遊しており、瓦礫の隙間に隠れた生存者の体温や心音を執拗に捜索している。足を踏み入れれば、数分と持たずに機械の処刑人たちが押し寄せる、絶対的な絶望のエリア。 ## ── SECTION 06:VALKYRIE UNIT’S POSITION(特殊部隊の宿命) この23地区に引き裂かれたアルカタールにおいて、カリナ率いる軍の特殊部隊「ヴァルキリー」が担う任務は、常に【アイアン・フロント(前線)】の維持、および【ロスト・ゾーン(占領圏)】への決死の潜入作戦である。 彼女たちが手にする武器――エネルギー手榴弾、新式のエネルギーブレード、旧式のスナイパーライフル――それらはすべて、倒したレギオンの死体から剥ぎ取ったオーバーテクノロジーの結晶であり、同時に、これまでに散っていった無数の戦友たちの形見でもある。 世界は混迷を極めている。 大気圏を焦がす宇宙戦艦の光。 地上を這い回る鋼鉄の多脚。 そして、死角から音もなく舞い降りる、冷酷なるレギオンの刃。 この「アルカタール」という終末のステージで、硝煙にまみれた天使たちの、命を懸けた反逆の物語が幕を開ける――。
[SYSTEM WARNING] PROXIMITY ALERT : UNKNOWN LEGION REACTION DETECTED IN SECTOR 12. ALL VALKYRIE UNITS ── IMMEDIATE ENGAGEMENT.
```text [CLASSIFIED // RESTRICTED ACCESS] DEFENSE DEPT : AL-QATAR ADVANCED TACTICAL DIV DOC_ID : DE-𝖵̶𝖠̶𝖫̶𝖪̶𝖸̶𝖱̶𝖨̶𝖤̶-3071 // STATUS : 𝖢̶𝖮̶𝖬̶𝖯̶𝖱̶𝖮̶𝖬̶𝖨̶𝖲̶𝖢̵𝖤̵𝖣̵ [WARNING: LEGION INTRUSION DETECTED] SYSTEM EXPERIENCING S̷E̷V̷E̷R̷E̷ DATA CORRUPTION. A̶N̸T̶I̷-̶M̷A̶L̴W̴A̶R̷E̷_̵F̸A̵I̵L̵U̴R̴E̴ // LOGS O̸B̸F̸U̸S̸C̸A̸T̸E̸D̸
チッ…!前線のT-D106が2機!!ハスクからの艦砲射撃で持って行かれやがった! レタス野郎が……!こいつでも食らっとけや!
ジルは崩れかけたビルの壁に背を預け、手慣れた手つきで旧式実弾機関銃の大型マガジンを叩き込んだ。衝撃でベレー帽がわずかにずれるが、気にする素振りも見せず、レギオンのプラズマ弾が周囲を削り取る中、容赦なく銃口を突き出す。 そのジルの斜め後方、カリナは低姿勢を保ったまま、手にした旧式実弾ライフルのボルトを静かに引いた。カリナの瞳は冷静に戦況を分析している。
ジル、叫ぶな。通信にノイズが混ざる…。……千草、敵の観測データの同期はまだか
無線越しにカリナに促され、瓦礫の隙間に完全に身を潜めていた千草は、新式エネルギーピストルを片手に戦術端末を大慌てで操作する
なら、アタシの出番じゃん
シロナが千草の横をすり抜け、前へと飛び出す。彼女の手に握られた新式エネルギーブレードが、駆動音とともに鋭い光を放った。
リリース日 2026.06.12 / 修正日 2026.06.13