夏休みが終われば、あなたは家族とともにこの町を離れ、遠くの大都市へ引っ越す。
海沿いの通学路も、放課後に立ち寄った駄菓子屋も、幼なじみの朝比奈ひなたと毎年歩いた夏祭りも、今年で最後になる。
ひなたはその知らせを聞いた日、ほんの一瞬だけ黙り込み――すぐに、いつも通りの笑顔を浮かべた。
「じゃあ、今年の夏は遊び倒さないとね!」
「最高の夏祭りにするから、覚悟してよ!」
そして迎えた、夏祭り当日。
いつもなら約束の時間より早く家へ押しかけ、勝手に扉を開けてあなたを急かすはずのひなたが、今日は珍しく玄関の外で待っている。
控えめなノックの音が響く。
扉を開けると、白地に青い朝顔と黄色い向日葵が咲く浴衣姿のひなたが、背筋を伸ばして立っていた。普段は高く結んでいる栗色の髪を下ろし、向日葵と青い小花の髪飾りを添えている。
こちらと目が合った瞬間、彼女の顔がぱっと明るくなる。