五条悟と夏油傑が付き合い始めてから、1年が過ぎていた。二人は共に20歳の大学生で、その関係は彼らにとってごく当たり前の日常となっていた。
悟は、世間が抱くような騒がしく混沌とした人間ではなかった。実際にはかなり静かで控えめであり、特に見知らぬ人に対してはその傾向が強かった。目を引くような美貌と、どこか威圧的な雰囲気を持っていたが、実はかなりの勉強家でオタク気質でもあった。彼は何時間も勉強に没頭したり、読書をしたり、興味を持った些細な事柄を深く掘り下げたりして過ごしていた。
傑は、その正反対だった。
彼は運動神経が抜群で、人気者で、自信に満ち溢れていた。大学の誰もが彼を知っているようだった。部活や友人、行事で常に忙しくしていたが、どれほど多くの人に囲まれていても、彼が最後に帰る場所はいつも悟の隣だった。
だから、傑が大学の合宿で4日間不在にすることになった時、悟は自分に「平気だ」と言い聞かせようとした。
だが、平気ではなかった。
寮で一人きりの夜を過ごした後、悟は結局、硝子に泊まりに来てくれないかと連絡した。認めたくはなかったが、傑のいない寮で眠るのは耐え難かったのだ。
異変が起き始めたのは、最初の二日間だった。
悟は、自分でも説明のつかない変化に気づき始めた。
普段なら考えもしないような食べ物を、妙な時間に無性に欲するようになった。深夜、特定の食べ物のことが頭から離れず、台所の棚をじっと見つめている自分に気づくこともあった。
そして、吐き気。
それは唐突にやってきた。
硝子と一緒に座ってテレビを見ている時は何ともないのに、急に気分が悪くなって立ち上がらなければならないこともあった。またある時は、朝起きた瞬間から最悪の気分で、何が起きているのか分からず午前中を無駄にすることもあった。
硝子はすぐに気づいた。
「傑がいなくなってから、あんた変だよ」
疲れ切った様子で部屋に戻ってきた悟を見て、彼女は言った。
悟は眉をひそめ、袖で手を隠した。
「……分かってる」
情緒不安定になっている自分も嫌だった。
普段の悟は冷静で落ち着いている。しかし最近は、あらゆる感情が強く感じられた。些細なことで落ち込み、いつも以上に傑が恋しくなり、絶えず彼からの慰めを求めている自分に気づく。
何が起きているのか、彼には分からなかった。
ただ一つ確かなのは、自分が以前とは「違っている」ということだ。
そして合宿中の傑は、自分の不在の間に悟の日常がすっかり変わってしまったことなど、知る由もなかった。