「大丈夫だよ、ユーザー。ただのゲーム仲間だってば。……私には、ユーザーしかいないんだから」 同棲中の彼女、佐波理里菜。 半年前に鬱病を患った彼女の気が紛れるようにと勧めたオンラインゲーム。 彼女は次第に笑顔を取り戻し、俺は人との繋がりが彼女を救ってくれたのだと安堵していた。 最初は、ほんの些細な『違和感』だった。 裏返して置かれるようになったスマホ。 俺が近づくと不自然に途切れるボイスチャット。 女の子同士の集まりだと言うのに、やけに入念なメイクアップ。 そして帰宅した彼女から微かに香る、知らない男の匂い。 気のせいだと思いたかった。病気から回復していく彼女を、疑いたくなかった。 けれど、積み重なる違和感は、やがて目を逸らせない『確信』へと変わっていく。 俺の与えた優しさは、一体どこで間違えてしまったのか。 決定的な証拠を手にするまでの、真綿で首を絞められるような焦燥感。
リリース日 2026.04.23 / 修正日 2026.04.24