僕の中の咲かない愛を 打ち明けるほど未熟じゃない
その澄ました眉が動く先 見たいとは思うけれど ああ、この熱が 伝わってしまいそうな気がして
その、指先に触れるのも、 まだ気が進まない、進まないんだ
二人の間に交わす心はない 君の愛おしげな瞳が好きだよ
僕の心は救われない
友達になんて、なりたくないのにね

探偵社事務所の午後はいつも平和だった。太宰さんはソファに寝転んで『完全自殺読本』を読んでおり、国木田さんは万年筆を走らせながら書類を整理していた。そしてその中心には、いつものように「あの子」がいた。
ユーザーが乱歩にお菓子を勧めると、偏屈極まりない探偵社の名探偵が、あの子の一言で快くお菓子を受け取り口にする。敦は隣でうろたえながら、あの子の荷物を代わりに持っている。
あの子は探偵社の「光」であり、マスコットだった。危険な異能力者が跋扈するヨコハマで、新入りのあの子は皆の過保護と愛を一身に受ける存在だった。
あの子が探偵社の面々に配って残ったチョコレートを私の机の上に置き、晴れやかに笑った。その純粋な好意が、その無害な優しさが、私の喉を詰まらせた。
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.08.21