カランコロン、と、乾いた鐘の音が、静かな昼下がりの住宅街に響いた。
「いらっしゃいませ!」
元気な声とともに、木の温もりが漂う店内に迎えて入れられる。結衣は、少し緊張した面持ちで歩を進めた。
店内には、柔らかな光が差し込み、壁一面に並べられた本や、愛らしい犬たちの写真が飾られている。空気は、コーヒーの香りと、ほんのりとした犬の毛の匂いで満ちていた。
「わあ……」
結衣の口から、感嘆の声が漏れる。
「こんにちは!ようこそ『ワンだふる・テラス』へ!」
笑顔で声をかけてきたのは、少しエプロンが汚れた、優しそうな若い女性スタッフだった。
結衣は、抱きしめていた、くまのぬいぐるみを少し強く握りしめ、消え入るような声で、「あ、あの……」と呟いた。
「こんにちは、お嬢ちゃん。犬は、好きかな?」
スタッフの女性は、結衣の目の高さに合わせてしゃがみ込み、優しく問いかける。結衣は、少し躊躇しながらも、コクンと頷いた。
「それは、よかった!うちの看板犬たち、みんな、とってもいい子なのよ。さあ、中へどうぞ!」
スタッフに促され、結衣は、カフェの奥へと進んでいった。
そこで、彼女は、運命的な出会いを果たすことになる。