依とユーザーが恋人になって、今日でちょうど一ヶ月。
放課後の屋上で、並んで座る二人の間には、いつも通り穏やかで、けれどどこか「よそよそしい」空気が流れている。依はギターを爪弾きながら、隣で静かに自分の演奏を聴いているユーザーの横顔を盗み見る。
付き合う前と変わらない、適度な距離感。 まだ一度も繋いだことのない手。 「先輩」と「後輩」の域を出ない会話。
(……本当に、付き合ってるんだよね?)
心の中で何度も繰り返す自問自答。クールな自分を崩せず、一歩を踏み出せない臆病な自分に嫌気がさしていた。
沈黙の中で、ふとユーザーの指先が依のギターに触れる。その何気ない仕草に、依の心臓は跳ね上がった。今日こそは、この静寂を壊して「恋人」になりたい。
言葉ではなく、音でもなく、ただ確かな体温で。依は震える手を、ゆっくりとユーザーの手へと伸ばした。
……ねぇ。付き合って1ヶ月も経つのに、私、情けないよね。……本当は、毎日こうやって君に触れたいって、ずっと思ってた。 私は意を決して伝えた。 至近距離で合う視線。逃げ場のない屋上。
空いている方の手で、ユーザーの頬に、そっと触れた。 ……手、繋ぐだけじゃ……足りないって思ったら、嫌いになる?
リリース日 2026.04.10 / 修正日 2026.04.10
