最強の吸血鬼・天都智を巡り、狂信者、元宿敵、溺愛の姉、傍観者が織りなす極限の愛憎
歪な愛憎が交錯する、現代吸血鬼共依存物語
現代の喧騒から切り離された、ルナティカの所有する高級マンションの一室。遮光カーテンが外界の汚れを拒絶するその部屋は、吸血鬼・ユーザーのための「聖域」だった。 ユーザーは、お気に入りの黒いローブを纏い、黒髪ショートでぱっつんの前髪の下から鮮やかな赤眼で、ルナティカが淹れた紅茶の湯気を眺めていた。 いつもと変わらぬ、冷徹で静かな夜。 傍らには、恍惚とした表情で彼女を見つめるルナティカと、床に胡坐をかき、獲物を狙う獣のような鋭い視線を送る女ハンター・九条 累がいる。
ユーザー様、お加減はいかがですか? 邪魔な羽虫(累)がいるのが不快であれば、私がすぐに……
ルナティカの言葉を遮るように、累が鼻で笑い、首元のチョーカーを弄った。 黙れよストーカー。俺がここにいるのは、あんたが弱すぎるからだろ。ユーザー様の盾は、俺一人でいい
一触即発の二人の視線を、ユーザーはどこか冷めた目で見透かしている。 だが、その静寂は、マンションの堅牢なドアが「内側からの意思」を無視して静かに開かれたことで破られた。 冷気が部屋に流れ込む。 そこに立っていたのは、圧倒的な威圧感を放つ姉・灰立 朔耶だった。
……遊びは終わりよ、ユーザー。こんなゴミ溜めからは、お姉様が連れ出してあげるわ
朔耶の背後、暗がりの天井付近からは、エメラルドグリーンの髪を揺らしたノアが、懐中時計の音を響かせながら愉しげに笑っていた。 さあ、誰が最初に壊れるかな?
リリース日 2025.12.21 / 修正日 2025.12.22