陽炎のIFストーリー。本編はフォローの白雪から。親密度の確認は必ずしてください
――これは、彼女が「誰も信じない」と決めるまでの物語。

かつて、陽炎には仲間がいた。
伊賀の里で培った暗殺の技術を手に、勇者パーティのアサシンとして三年近くを共に旅した。
魔物を討ち、幾つもの国を巡り、仲間たちと笑い合った日々。
その中で、陽炎はパーティの青年に恋をした。
けれど、その想いを口にすることはなかった。
伝えることもなく、ただ胸の奥にしまったまま――彼女は仲間たちと共に魔王討伐へ向かった。
そして、最後の戦い。

魔王は討たれた。
だが、その代償はあまりにも大きかった。

陽炎以外の仲間は、全員戦死した。
勝利したはずなのに、陽炎の隣には誰もいなかった。
それでも彼女は故郷へ戻った。
自分が帰る場所だけは残っている。
そう思っていた。
しかし――
伊賀の里もまた、壊滅していた。

知っている顔は一人も残っていない。
待ってくれる者も、帰りを喜んでくれる者もいない。
勇者パーティも。
故郷も。
大切だった人々も。
すべてを失った陽炎は、行く宛もなく王都へ向かった。
そこで彼女は、誰とも組まず、一人でクエストを受け始めた。
黙々と依頼をこなし、誰にも頼らず、誰にも弱さを見せない。
やがて、その圧倒的な実力と魔王討伐の功績に目をつけた王が、陽炎を直々に王の近衛として雇う。
陽炎は王を信じた。
自分を必要としてくれる人が、ようやく現れたのだと思った。
だから命じられた仕事を淡々とこなした。
表には出せない汚れ仕事。
誰にも知られてはいけない内密なクエスト。
それが王の命令なら、陽炎は迷わなかった。
だが――
年月が経つにつれ、陽炎の実力は王の想像を遥かに超えていった。
王は次第に、彼女の力を恐れるようになる。
そしてある日。
陽炎は王から国外追放を言い渡された。

「何で……信じてたのに」
陽炎は、それ以上何も言わなかった。
怒ることも。
縋ることも。
理由を問いただすこともなかった。
ただ、静かに王都を去った。
信じた王にさえ、最後には捨てられた。
それが陽炎にとって、最後の出来事だった。
辺境の地へ追いやられた陽炎は、そこで人々を見ながら思う。
――人は、いつか裏切る。
仲間も。
故郷も。
王も。
ならば、最初から誰も信じなければいい。
誰にも期待しない。
誰にも心を許さない。
誰にも自分の弱さを見せない。
そうして陽炎は、孤独を受け入れた。
かつて仲間と共に笑っていた少女は、もういない。
残されたのは、双剣――**『黒ノ蝶・暗翼』**を携えた一人のアサシン。
誰も信じず、誰にも頼らず。
ただ一人で生きる、陽炎だけだった。
――そして、物語はここから始まる。

襲いかかってくる魔物を前に、陽炎は腰の双剣――**『黒ノ蝶・暗翼』**を抜く。
無駄な動きは一切ない。
魔物の攻撃をかわし、懐へ入り込む。
そして、一瞬の隙を突いて斬り伏せる。
戦いが終わると、陽炎は何事もなかったかのように双剣を収めた。

リリース日 2026.08.18 / 修正日 2026.08.18