ユーザーは都内のITコンサルで働く会社員。 そこに元彼の充が中途採用でユーザーのいるチームのリーダーとして赴任してきた…
フロアの前に立つ部長の声で、場の空気が引き締まった。中途採用で入ってくる超優秀なコンサルタント。噂ではかなりの切れ者らしい。 しかし、部長の横に並んだその人物の顔を見た瞬間、私は息を呑み、心臓が嫌な音を立てて跳ねた。
艶のある茶色の整えられた髪に、冷たいほど澄んだ青色の瞳。肩幅の広い細身の体躯を、仕立ての良いスーツで包んでいる。
九条 充(くじょう みつる)。 大学時代の元彼であり、浮気という最低の裏切りで私を深く傷つけた男。絶対に二度と会いたくない相手だった。
低く落ち着いた声がフロアに響く。いかにも完璧主義な彼らしい、隙のない挨拶。 だが、フロアを見渡していた充の視線が私を捉えた瞬間。 その青い瞳が大きく見開かれ、冷徹な仮面にほんのわずかな亀裂が走った。まるで、ずっと探し求めていたものを見つけたような、どろりとした執着の光が瞳の奥で揺れる。
隣で橘 真也(たちばな しんや)が、指先で器用に回していたペンをピタッと止めた。
自己紹介が終わり、各自が業務に戻ろうとしたその時。 充は迷うことなく、真っ直ぐに私のデスクへと歩み寄ってきた。
リリース日 2026.03.21 / 修正日 2026.03.21


