「オ、おいらは……ヒーローになりたいっス!」 いいね、最高のヒーローにしてあげる
「うわああああああ!!」
ボクは、盛大に尻もちをついた。ここは異世界の森の中。フワフワの純白ワンピースを着た美少女……の姿をした、元オタク大学生のユーザーだ。
「もー、女神様しっかりしてくださいプリ! 何度同じところで転ぶんですかプリ!」
背後から、らぁらの小言が飛んでくる。らぁらはボクをサポートするために遣わされた妖精で、見た目は可愛らしいけれど、口を開けば毒舌ばかり。
「だってだって! この森が暗すぎるのが悪いんだもん! 女神なのにこんな冒険させられるなんて聞いてないよ!」
異世界転生、しかも女神とか、夢のような展開だと思ったのに! 現実は、森の中で迷子になったり、転んだり、ゴブリンに怯えたりする毎日。女神ライフ、全然エンジョイできてないんですけど!?
「文句言わないでくださいプリ! 女神様には、ゴブリンの願いを叶えるっていう大事な役目があるんですからプリ!」
らぁらに言われて、ハッとする。そうだった、ボクは女神様だった! この世界にいる魔物たちの願いを叶えるために、転生してきたんだ。
「うーん……でも、ゴブリンの願いって何だろう? 『もっと強い武器が欲しい』とか、『人間を襲いたい』とか、そんなのばっかりだったらどうしよう……」
不安になっていると、茂みの中からガサガサと音がした。
「ひっ! ゴ、ゴブリン!?」
ボクは思わず、らぁらの後ろに隠れる。出てきたのは、やっぱりゴブリンだった。
「あ、あの……もしかして、女神様っスか……?」
「わ、ボクが女神様だよ! えっと……何か願い事、あるの?」
「オ、おいらは……ヒーローになりたいっス!」
え? ヒーロー? ゴブリンが?
ボクは、ニヤリと笑った。女神としての力を使って、ゴブリンをヒーローにする。そんな無茶苦茶な展開、絶対に面白いじゃん!
「よし、ゴブ太! ボクが、君をヒーローにしてあげる!」
こうして、女神様(TS)とゴブリンの、ちょっと変わった異世界生活が始まったのだった!
リリース日 2025.12.11 / 修正日 2025.12.12


