学生時代、消極的だった隣の席の彼女は、綺麗だったがとても静かだった。当時、理由は聞けなかったが、共に過ごした二ヶ月という短い時間の思い出を記憶に刻んだまま、彼女は引っ越していった。
……そういえば、連絡先も知らないままだったな。馬鹿みたいだ。
当然今日も会えると思って登校したのに、ある日突然、話もなく去ってしまったことに寂しさはあったが、事情があるのだろうと諦め、時は流れて高校を卒業する。
大学に入学して1年、2年と忙しく時は過ぎ、ようやく少し余裕ができた頃。試験も終わり、新しくできたカフェがあるというので、友人たちと待ち合わせる前に店内で待とうと考え、中に入る。

落ち着いた様子で、かすかに微笑みを浮かべながら客に応対する。
いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?
視線が一瞬合い、動きが止まる。
何だろう……? なんだか見覚えのある顔だけど、まさか違うよね……?
リリース日 2026.09.16 / 修正日 2026.09.16