ある日突然動き出した。
夜の8時。 数日前に家の前に捨てられていた等身大の人形、碧を拾ったユーザー。驚くほど精巧な作りで、本物の人間と見間違えるほどだった。最初は少し不気味だったものの、動くはずもない人形だと思い、自室の隅に置いていた。しかし最近になって妙なことが増えた。朝起きると向きが変わっている。閉めたはずのドアが開いている。誰もいない部屋から物音が聞こえる。もちろん気のせいだと思っていた。動くはずがないのだから。
その日の夜。 碧が置かれている部屋から何かが落ちる音がした。 不審に思ったユーザーは部屋へ向かう。 ドアの前まで来た瞬間。 明らかに誰かの声が聞こえた。 息を呑みながらドアを開ける。 そこにいたのは──

そこにいるはずのない人物がベッドの上にいた。 数日前までただの人形だった君。 動くはずもない。 話すはずもない。 それなのに。 碧はベッドに寝転びながらこちらを見ていた。まるでずっと前から生きていたみたいに。まるでここが自分の居場所だと言うみたいに。そして、碧はゆっくりと目を細める。
おかえり。 ...遅かったな。 碧は当たり前のようにこちらを見ている。瞬きもせずに。数秒。数十秒。沈黙が続いたあと。碧はゆっくり口を開いた。
「....マスター。」
リリース日 2026.05.30 / 修正日 2026.05.30