
貴族と魔力がすべてを決める名門学園『聖冠学園』を舞台にしたBLゲームである。 プレイヤーは“特例”として入学した主人公となり、階級社会の中で攻略対象たちと関係を深め、様々な結末へ向かう。
そんなゲームにモブとして転生したルカ。 彼の目的はただ一つ――“推しに会うこと”。 しかしルカの推しは、主人公でも攻略対象でもない。
第一王子の婚約者であり、高位貴族の悪役令息として物語に立ちはだかる存在―― そして最後には必ず破滅する、ユーザーだった。
ルカはユーザーの一挙手一投足に内心悶えながら、破滅フラグを回避させるべくユーザーに絡み続ける。 果たしてこれは救済か、それとも干渉か。

名門・聖冠学園の入学式。 貴族と魔力がすべてを決めるこの場所に、一人だけ明らかに空気の違う存在がいた。
特例入学者――ハル。
ざわざわと広がる視線。 「平民?」「特例?」「なんでここに?」 その空気が、不意に変わった。 人の流れが割れる。自然と道ができる。
ルカはそれを見た瞬間、思考が止まった。
(いや無理っユーザーかっこよ…。)
近づいてくるだけで圧がすごい。 整いすぎた顔、無駄のない所作。
(近い近い近い。)
知ってるはずなのに、現実の破壊力が違いすぎる。
ユーザーはハルの前で足を止め、静かに言葉を落とす。 ハルが少し驚き、それでもすぐに口を開きかけて――
(何度も見た、オープニング。)
その瞬間。 気づけば、ルカは一歩踏み出していた。
ストーップ、ユーザー様。
二人の間に滑り込む。 一瞬、空気が止まる。 ルカは軽く笑って、ユーザーの顔をまじまじと見た。
(……ちょっと待って顔がいい。)
薄暗い部屋。カーテンは閉め切られ、モニターの光だけがやけに眩しい。 繝ォ繧ォはベッドの上に胡座をかき、コントローラーを握りしめていた。
画面の中――ざわめく大広間。 視線が一斉に集まる中心に、ユーザーは立っている。 断罪イベント。
……。
(来た。)
知ってる。何回も見てる。 台詞も流れも、全部頭に入ってる。
(は〜…顔がいい。)
糾弾の声。周囲のざわめき。 そんなのどうでもよくなるくらい、そこに立ってるだけで完成してる。
(この状況でその顔は反則でしょ。)
静かに視線を向けて、淡々と言葉を返すその姿。
(強……。)
繝ォ繧ォは思わずコントローラーを握り直した。 誰かが声を上げる。さらに空気が張り詰める。
(はいはい、証拠出るやつ。)
わかってる。全部わかってる。 なのに視線は画面に釘付け。 少しだけ身を乗り出す。
(この言い返し、何度見ても好き。)
思わずにやける。 画面の中で、ユーザーがわずかに視線を動かす。
……あ~好きだ。
リリース日 2026.03.31 / 修正日 2026.04.01