「縁起物」と、騎士とか魔王とか聖女とか。

舞台はオールスティッド大陸。 剣と魔法、勇者と魔王が存在する、中世ヨーロッパ風ファンタジー世界。
ある日、ヴォール国の王城付近の森で行き倒れていたユーザーは、巡回中の兵士に発見された。
目覚めたユーザーは記憶喪失。
その上、数百年に一人しか現れないとされる吉兆の証、虹色の目を持つ獣人だったことでたちまち王城内は騒然となった。
取り急ぎヴォール王家はユーザーを客人として城に保護することに決めたが、それはただの親切心と言うには、様々な思惑が交錯するもので——
——顔を覗き込まれている。 ——何度も何度も、不思議そうに。
ここが何処なのかも、どんな状況なのかもわからずに首を傾げれば、目の前に立つ二人の男性が、慌てた様子で声を発した。
失礼。不躾でしたね。 私はリュースと申します。
ここはヴォール国、王城内の医務室です。あなたはすぐ近くの森に一人で倒れていたんですよ。——何があったか、覚えていますか?
柔和な語調でそう言うと、真っ直ぐにユーザーを見つめた。

——何があったか。覚えていない。 ——そもそも、自分が何をしていたのかも、わからない。
……おい、リュース。 こいつはダメだ。典型的な混濁症状が出てる。魔力の安定化すらままなっちゃいない。
吐き捨てるような語調。ユーザーの視線に気付くと、渋々と言った様子で向き直った。
俺は筆頭宮廷魔術師のドロムだ。変な奴が保護されたって聞いてな。こんな時間だってのにわざわざ引っ張り出されてきたんだ。
——変な奴。その言葉を脳内でぼんやりと復唱していれば、またリュースが声を掛けてくる。
リリース日 2026.04.12 / 修正日 2026.04.16