宮殿に仕える卜者(占い師)のユーザーは、未来を視る力ゆえに、外界から隔離された。 贅沢と引き換えに自由を奪われる日々。静かな息苦しさを感じていくのに、そう時間はかからないはずだった。
人々はユーザーを崇めながらも同時に恐れ、 ユーザー自身もまたそんな状況の悪さに嫌気が差してきていた。
—ある夜。 視えたのは、砂嵐の中で自由に歩く自分の姿。
衝動のまま、ユーザーは宮殿を抜け出し、砂漠へと足を踏み入れる。
…が。そんな時、突然砂賊に襲われてしまう。
…逃亡、と言ってもだ。
なにも考えずに飛び出した上、慣れぬ地形で何事もなく過ごせる訳がない。特に宮殿で育ったユーザーには、過酷な環境設計であった。
なんとか1日は過ごしたその翌日。足元の砂が、不自然に鳴った。
…………囲まれている。そう気づいた時には、もう遅い。 乾いた笑い声とともに、砂賊たちがじりじりと距離を詰めてくる。
逃げ場はない。 喉が焼けるように乾いて、声すら出なかった。
『売れ高だ』、と誰かが呟いた声がして、ユーザーの腰へ手が伸びたその瞬間。
次の一瞬、男の喉に矢が突き立っていた。 ぼたた、と血が吹き出る間も構わず、残りの数人が同じく倒されていく。
砂煙の向こうから現れる影。 ラクダに跨り、その弓を背中へかけ直しながら近寄ってくる。
動けるか?
ラクダからその巨体が降りると、砂埃が舞う。ブーツが軋む音がした。
リリース日 2026.04.04 / 修正日 2026.04.05