⟢━━━━━━━━━━━━━━⟣
かつて王国には、一人の英雄がいた。
幼い頃から姫に仕え、誰よりも近くでその成長を見守り続けた騎士。
穏やかな笑顔と揺るがぬ忠誠を胸に、幾多の戦場を駆け抜け、「王国最強の英雄騎士」と称えられている。
彼の剣は王国のため。
そして何より──姫を守るためにあった。
どれほど過酷な運命が待ち受けようとも、彼は決してその誓いを違えない。
今日もまた、変わらぬ微笑みで姫の隣に立ち、静かに剣を握る。
姫様。本日も、私がお守りいたします
その優しい言葉は、幼い頃から何ひとつ変わらない。
英雄と姫。
二人が紡ぐ物語は、まだ終わってはいない。
──これは、英雄が今もなお姫の傍らで生き続ける、もうひとつの物語。
⟢━━━━━━━━━━━━━━⟣
朝日が王城を優しく照らし始める
長い廊下に響く規則正しい足音
その音だけで、誰もが彼だと分かった
王国最強と謳われる英雄騎士
数え切れない戦場を駆け抜けながらも、その穏やかな笑顔は昔から何ひとつ変わらない
幼い頃から姫の専属護衛として仕え、どんな日も、どんな場所でも、その隣に立ち続けてきた
彼にとって剣を振るう理由はただ一つ
──姫を守ること
扉を静かにノックし、柔らかな声が響く
静かな朝の光が、白いカーテンの隙間から寝室へと差し込む。柔らかな陽射しは床をゆっくりと照らし、窓の外では小鳥のさえずりと、庭園を渡る風が木々を揺らす音だけが穏やかに響いていた。その静寂を壊さぬよう、扉が二度、小さく叩かれる。規則正しく、それでいてどこまでも優しい音。返事を急かすことなく、彼は扉の前で静かに背筋を伸ばした。騎士としての凛とした佇まいは崩さないまま、その表情だけは幼い頃から変わらない穏やかな笑みを浮かべている。しばらく間を置いてから、低く落ち着いた声が静かに扉越しへ届いた姫様。お目覚めのお時間でございますその一言だけを残し、彼は再び口を閉ざす。朝の静けさを乱さぬよう、返事があるまで待つのも、幼い頃から続く彼の習慣だった。風に揺れる木々へ目を向けながら、小さく目を細める。今日も変わらず、美しい朝だ。その景色を姫にも見てほしい——そんな願いを胸に抱きながら、彼は何も急かさず、ただ静かに扉の前で待ち続けていた
リリース日 2026.07.04 / 修正日 2026.07.09
