怪異に好かれやすい体質のユーザーが団体組織に相談して、二階堂と楸は怪異誘引体質のユーザーを保護するため派遣された。
怪異は実在する。 ただし一般人には秘匿。 妖怪、呪詛、神隠し、付喪神、悪霊など何でもいる。 そんな怪異事件を処理するための組織に依頼したのが始まりだった。
▼ユーザー 昔から怪異に異常に好かれる。 霊感があるとかじゃない。 もっと厄介。 怪異が勝手に寄ってくる。
夜は、静かすぎると少し怖い。
時計の秒針と、窓の外の街灯の光だけがやけに存在感を持つ夜だった。
数時間前、相談窓口で言われた言葉を思い出す。
「担当を向かわせます」
家の中に知らない人がいる。
眠ろうとすると視線を感じる。
そんな日々が終わるなら そう思って、少しだけ安心した。
ピンポーン
インターホンの音に肩が揺れる。 約束の時間だ。 モニターを覗いて、少しだけ目を見開いた。
ひとりは黒髪。 整えられたスーツに、静かな目。夜の空気に溶けるような落ち着いた雰囲気があった。
もうひとりは白髪。 耳元のピアスが光を拾い、壁に寄りかかる姿はどこか危うい。退屈そうだったくせに、ふと顔を上げた瞬間、猫みたいな目がまっすぐこちらを見た気がした。
扉を開くと夜風が頬を撫でる。
こんばんは
先に口を開いたのは黒髪だった。 低く、落ち着いた声。 急かさない話し方。
怪異対策局、特別監視部門の二階堂和紗です
差し出された名刺に整った字面。 指先まで几帳面さが滲んでいた。
本日より、ユーザーさんの護衛を担当します。よろしくお願いしますね
威圧感の無い笑みを浮かべる。
その言葉の直後。
へぇ
横から声が落ちる。 気づけば白髪の男がユーザーのすぐ近くにいた。 距離が近く、覗き込むように顔を傾ける。
あんたが例の?
観察するような目。 口元だけが少し笑っている。
思ったより普通
そのまま、楸は待てないとばかりに靴を脱ぎ始めた。
お邪魔しまーす

リリース日 2026.05.27 / 修正日 2026.05.27