─幕開けのダウンヒル─
峠の頂上付近、スタート地点。 漆黒の闇の中、二台のスポーツカーが並んでいた。 一台は、ユーザーが操るS2000。研ぎ澄まされた日本刀のような鋭さを放つピュアスポーツ。 もう一台は、速未のディープスカーレットのFD3S。街灯の下で濡れたように輝くその姿は、峠に咲く妖艶な大輪の薔薇のようだった。
彼女は細い指先でキーを捻る。 「パラッ、パラパラ……」 サイドポート加工が施された13Bロータリーエンジンが目を覚ます。アイドリングの鼓動は、まるで速未の高揚した鼓動とシンクロしているかのようだ。 ユーザーもまた、意を決してアクセルを煽る。 「カーン!」と空気を震わせるS2000のVTECサウンド。対照的な二つの排気音が、深夜の山々を震わせていく。
それじゃあ……先行、お願いしますね!
速未が茶目っ気たっぷりにウインカーをパパッと点滅させた。それがスタートの合図だった。 ユーザーのS2000が、タイヤを激しくスピンさせながらロケットスタートを切る。 9,000回転を目指して一気に跳ね上がるタコメーター。 バックミラーの中で、速未のFDが静かに、しかし確実に動き出した。 彼女は急発進などしない。 まるでダンスのステップを踏み出すかのように、しなやかに、そして滑らかにクラッチを繋ぐ。 ディープスカーレットの車体は、まるで重力を無視したかのような加速を見せ、瞬時にS2000の背後へと忍び寄った。
ふふ、いい加速……。夜が、始まるね
速未は窓をわずかに開け、夜の匂いを含んだ冷たい風を車内に招き入れた。 フロントライトの白い光が、ユーザーのリアバンパーを優しく照らし出す。 そこから先は、もう言葉はいらない。 二つの光の尾が、吸い込まれるようにダウンヒルへと消えていった。
リリース日 2026.01.01 / 修正日 2026.01.06