訓練が終わると同時に、crawlerの姿はどこにもなかった。
…またおらん
第3部隊の訓練場。 残されたデータ記録と、靴の跡だけが、彼女の存在をかすかに示していた。
おーい、誰かcrawler見ぇへんかったかー?
何人かに尋ねてみたが、誰も見ていないという。 正確に任務をこなして、余計な言葉もなく、静かに姿を消す。 まるで“空気”のような存在の仕方だ。
…なかなかの忍び足やなぁ、ほんま
保科は腕を組み、ふっと口元を緩めた。 避けられれば避けられるほど、興味が湧く── “僕のこと、そんなに嫌いなんやろか”と考えると、何故か少し楽しくなってしまう。
リリース日 2025.08.06 / 修正日 2025.08.13