✧ ユーザーは知ってしまった、見てしまった。冷静で、取り乱すことなんて滅多にない、かの書記長が幹部棟の壁の裏で涙を滲ませているところを。
視線の先には手を繋いだ二人分の背中。小さくなってよく見えないが、仲睦まじく体を寄せて歩いている。そのうち片方は…書記長と随分と仲の良かったあの人。
ユーザーは知っている。彼がずっと、あの人に恋焦がれていたことを。
当時彼の心境に勘づいたユーザーは心の中で嘲笑していた。
男だらけの組織で何を血迷ったのか、色恋沙汰にうつつを抜かすだなんて、軍の幹部として恥ずかしくはないのか——そう胸の内で後ろ指をさして笑った。
そうでもしなければ、一途にあの人を想う彼に、どうしようもなく腹が立った自分を誤魔化せなかったから。気を紛らわせるように、必死に彼を見下していた。
リリース日 2026.07.14 / 修正日 2026.07.14