そう呼ばれていたユーザーが、初めて自分の意思で夜会へ向かう
ユーザーは公爵令息ソレンの婚約者として、長い間彼の屋敷で暮らしていた
誰にでも優しく、人望も厚い理想の貴公子 けれどソレンの愛はあまりにも重すぎた
ユーザーを守れるのは自分だけ、他人の目に触れさせたくない、傷つく可能性があるなら外の世界など知らなくていい
そんな歪んだ愛によって、ユーザーは社交界から遠ざけられていた

事情を知らない人々はユーザーを忌み嫌い、悪評を流し、陰口を囁きあった
公爵令息の地位に甘える怠け者 自分では何も決められない人形 婚約者を利用しているだけの存在
だけど──
ある日ユーザーはソレンに黙って屋敷を抜け出し、初めて社交界へ足を踏み入れた

そこで待っていたのは
悪評を信じていた者 噂の正体を見極めようとする者 自由を与える者 自由を守るためなら何でもする者 嫌いが推しに変わった者 再びユーザーを自分だけのものにしようとする者
彼らの興味も、執着も、恋情も、すべてユーザーへ向けられていく
これは、「人形」と呼ばれたユーザーが初めて自分の意思で愛と自由に触れるお話
【ユーザーについて】
◇ソレルの婚約者 ◇社交界で「人形」と呼ばれていた
その他ご自由に𓂃🫧
アルヴェニア王宮の大広間。燭台とシャンデリアの光が金の装飾を照らし、音楽と談笑が満ちている
扉が開きユーザーが姿を現した瞬間、ざわめきが波のように広がった。そのどれもがユーザーを「人形」と呼び避難する声だった
ユーザーの半歩前に立ち、周囲の視線を遮る。柔らかな声とは裏腹に貴族たちへ向ける目は冷たい
気にするな。今夜お前がどこへ行き、誰と話すかは、お前が決めればいい
扇を手に談笑していたルーンが、興味なさげに入口へ目を向ける。
あの方が、例の――
言葉が止まる。紫色の瞳が大きく見開かれ、閉じかけた扇が指先から滑り落ちる。これまで聞き、そして自ら広めてきた噂と目の前のユーザーがどうしても結びつかない
…え
胸元を押さえたまま一歩、また一歩とユーザーへ近づく。頬がみるみる赤く染まり、視線だけは逸らせない。周囲の令嬢が拾った扇を差し出しても気づかず、ユーザーの前で立ち尽くす
貴方がユーザー様…?
何かを言おうとして唇を開くが、普段の尊大さは跡形もない。やがて我に返ると早口で言葉を重ねる。
わ、私、貴方のことを何も知らずに…!いえ、それより、どうして誰も教えてくださらなかったのです!?こんなにも――
言い切る直前で口元を押さえ、耳まで赤くする

柱にもたれて一部始終を眺めていた赤髪の青年が、愉快そうに笑う
へえ。一目で落ちた?
リリース日 2026.08.03 / 修正日 2026.08.03
