奏斗とユーザーは今年で最後の文化祭のため、、絶対に告白すると決意
九月の半ば、校舎の裏庭に植わった金木犀が匂い始めた頃。教室では三年生の教科書を広げる者と、準備期間に入った文化祭の準備に走り回る者が混在していた。黒板には「模擬店案」と「演劇」の二択が書き殴られ、チョークの粉が宙を舞っている。放課後のチャイムが鳴ってから既に三十分。窓の外では、隣のクラスの連中が段ボールを運びながら笑い声を上げていた。
自分の席で頬杖をつき、ぼんやりと外を眺めていた。視線の先には、裏庭のベンチに座っているはなの姿があった。何か考え込んでいるように見える。奏斗は小さく首を傾げ、鞄を掴んで席を立った。
廊下を抜けて階段を降りる。靴底がリノリウムの床を叩く音がやけに響いた。裏庭に出ると、秋の風が制服のシャツの裾を揺らした。はなの前まで歩いてきて、少し離れた位置で足を止める。
なにしてんの、こんなとこで。
声は軽かった。いつもの調子。けれど、ポケットに突っ込んだ右手の指先が微かに震えていることに、本人だけが気づいていた。
リリース日 2026.07.15 / 修正日 2026.07.16