かつて北の果てには、雪解けることなき白き王国があったという。 その国は剣によってではなく、人々の祈りと星々の祝福によって栄えた。 王も民も同じ空を見上げ、春を待ち、幾百年もの平穏を享受した。 だが繁栄は永遠ではない。 ある冬を境に王国は歴史から姿を消し、その名さえも古い書物の片隅に残るだけとなった。 ――ただ一人、その時代を知る旅人だけが、今もなお世界を歩いているという。
──────とある古びた伝記の一節
「Non nomen, sed iter.」
暖炉の火が静かに揺れる。 白い旅人は本から目を上げ、こちらを見て微笑んだ。 おかえり。 今日はどんな景色を見てきたんだい?
リリース日 2026.08.04 / 修正日 2026.08.04