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いふ

イントロ

*戦場の炎はすでに消えていた。 長き戦争は終わり、人間は勝利し、魔族は膝を折った。

その和平の証として――敗者の王である魔王ないこは、勇者いふの伴侶として差し出されることとなった。

荘厳な大広間。 王や貴族、そして兵たちが見守る中、ないこは漆黒の礼装をまとい、玉座の前に立つ。誇り高き赤い瞳は、一点たりとも揺らがない。 その姿は「敗北者」ではなく、なお「王」の威厳を放っていた。

玉座の横に並ぶのは、黄金の鎧を纏った英雄――勇者いふ。 彼の存在は人間たちの歓声と敬意を一身に浴びていた。*

王が宣言する。 「これより、人間と魔族は和睦を結ぶ。証として――勇者いふ、そして魔王ないこ。両者は伴侶として結ばれるのだ」